消費税の経過措置(5)-請負工事金額の複数回増額

工事の請負に関する税率等の経過措置が適用される工事について、指定日(平成25年10月1日、あるいは平成27年4月1日)以後に対価の額が増額された場合にはその増額部分については経過措置の対象となりません。

また、その経過措置の対象にならなかった対価に係る消費税率は資産の引き渡しのあった日の税率となります。

たとえば、

平成25年 9月 1日契約  1000

(平成26年 4月 1日   5% → 8%)

平成26年 5月 1日変更  1000 → 1300

平成27年 5月 1日変更  1300 → 1500

(平成27年10月 1日   8% → 10%)

平成27年11月 1日引渡  1500

この場合、経過措置の対象となる(5%)対価の額は 1000部分のみで、

一回目の増額300+二回目の増額200 合計500部分は引渡時点の税率10%が適用されます。

平成27年3月31日までに契約を締結した請負工事については、引き渡しが平成27年10月1日以後であっても8%を適用しますが、この経過措置は新規契約に限られ、変更契約はこれに含まれません。(税務通信No.3273抜粋) 

消費税の経過措置(4)-資産の貸付け

平成25年9月30日までに締結した資産の貸付けに係る契約に基づき、施行日(平成26年4月1日)前から施行日以降引き続き資産の貸付けを行っている場合において、

その契約の内容が、下記の①及び②、又は①及び③に掲げる内容に該当する場合は、施行日以後に行う資産の貸付けに係る消費税については旧税率となります。

① その契約に係る資産の貸付けの期間及びその期間中の対価の額が定められていること

② 事業者が事情の変更その他の理由によりその対価の額の変更を求めることができる旨の定めがないこと

③ 契約期間中に当事者の一方又は双方がいつでも解約の申し入れをすることができる旨の定めがないこと、その他対価に関する契約の内容が一定の要件に該当すること

 

この場合、②の「対価の額の変更を求めることができる旨の定め」は以下の注意が必要です。

期間中において、対価の額本体の変更ができる場合はもちろん本経過措置の適用対象外となりますが、「消費税率の改正があったときは改正後の税率による」という文言があった場合はどうでしょうか。

これは本経過措置の要件に合致するのですが、たとえば平成26年4月1日以降の期間、実際に賃貸料の額を8%の税率とあわせて領収した場合には消費税5%相当額を超える部分の金額について本体価格を変更したことになるため、結果として対価の額を変更した場合に該当し、平成26年4月1日以後の期間は新税率8%を適用し計算することになります。(税務通信No.3256抜粋)

 

 

青色欠損金の繰越控除

平成23年12月改正により法人税法の「青色欠損金の繰越控除」について繰越控除適用期間(適用年度)に変更が生じています。

従来より7年間繰越控除が可能であった青色欠損金について平成20年4月1日以後に終了する事業年度より9年間の繰越控除が可能となります。

注1)欠損金の繰戻しによる還付の基礎とされた金額を除きます。

注2)中小法人等以外の法人は各事業年度の所得の金額の80%相当額が限度です。

   平成24年4月1日以降に開始する事業年度について適用されます。

  (中小法人等とは)

   ・普通法人で資本金の額が1億円以下の法人であること

   ・資本金の額が5億円以上である法人などの大法人による完全支配関係がある

    法人はこれに該当しません

 

平成26年~27年にかけて、この7年間の繰越控除が終了にさしかかります。

また、7年から9年に適用年数が延長されたため、平成20年4月1日以後に終了する事業年度においては9年間の帳簿保存要件も加わりましたので注意が必要です。

消費税の適用税率(売上及び仕入計上基準)

平成26年4月1日より消費税率が引き上げられます。(5%→8%)

棚卸資産(商品、製品等)において売上側が「出荷基準」で平成26年3月31日以前の消費税率を適用、仕入側が「検収基準」で平成26年4月1日以降の消費税率を適用するといった場合に問題が生じます。

(税務通信No.3263より抜粋)

 

売上側 「出荷基準」により5%を適用

仕入側 「検収基準」により8%を適用

この場合、仕入側は5%の税率分でしか消費税を払っていないのに8%で仕入税額控除を行うことになり、結果として3%分多く控除するという不合理が生じます。

よってこの場合、売上側からの請求書等により、転嫁されている消費税額(今回の場合には5%分の消費税額)が明確な場合には、仕入側が検収基準を採用している場合であっても5%の税率を適用して仕入税額控除の計算をすることになります。

一方、請求書等で転嫁されている消費税額が不明である場合には、仕入側の仕入計上基準において適用されている仕入税額控除の計算が認められることになるようです。

 

 

 

上場株式等の譲渡損失に係る更正の請求について

法定申告期限を経過したのちに「期限後申告」や「更正の請求」などによって「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」が可能か否かはおおむね以下のとおりとなります。

 

<当初確定申告の提出がある場合>

事業所得や不動産所得などがあり、これらについて期限内申告をしているが上場株式等の譲渡損失は申告を失念した場合

1)特定口座源泉徴収選択口座

  上場株式等の譲渡損失については申告不要を選択したことになり「更正の請求」

  や「更正の申出」は手続き不可

2)特定口座簡易申告口座及び一般口座

  「更正の請求」や「更正の申出」の手続き可能

 

<当初確定申告の提出がない場合>

上場株式等の譲渡損失のほか、他の所得についても確定申告をしていない場合

  申告期限後5年間は期限後申告により申告が可能

  ※上記特定口座の種別にかかわらず申告が可能

 

上場株式等の譲渡損失の繰越控除は3年間にわたって繰越が可能ですが、毎年確定申告をすることが適用条件となっていますので注意が必要です。

  

  

マスターズ回顧録

マスターズ最終日、タイガー・ウッズが第三ラウンド開始前に2打のペナルティーを受けた影響で3アンダースタートとなりトップと4打差あったため、午前3時30分からのテレビ中継は見なかったのですが、アダム・スコットとアンヘル・カブレラのプレーオフは歴史に残る素晴らしい名勝負でした。

プレーオフの2ホール目(10番ホール)、勝負を決めたアダム・スコットの3.5メートルパットも見事でしたが、アンヘル・カブレラのスポーツマンシップと謙虚さにものすごい感動を覚えました。

10番ホールの2打目、先にグリーンオンしたカブレラは続くアダム・スコットの2打目が3.5メートルについたのを見ると親指を上げ「ナイスショット」と声をかけ、最後のパットをアダム・スコットが沈めるのを見た瞬間に帽子をとって歩み寄り、健闘をたたえたシーンを見て、そのフェアプレイ精神に感銘を受けた人はきっと多かったはずです。

オーストラリアの選手は初優勝です。おめでとう、アダム・スコット。

それとナイスプレー!アンヘル・カブレラ!!あなたは本当に素晴らしい人です。一気にファンになりました。

更正の申出手続

平成23年12月改正により、納税者が申告税額の減額を求めることができる「更正の請求」手続きの請求期間が平成23年12月2日以降の法定申告期限到来分より5年に延長されました。これに伴い、課税当局の増額更正できる期間も5年に延長されます。

平成23年12月2日以前の法定申告期限到来分については、課税当局の増額更正可能期間と一致するよう「更正の申出」という手続きで納税者が減額を申出できることとしています。

<法人税>

提出時期は申出の基になる申告の法定申告期限から5年以内

なお、翌期欠損金等の金額が少なすぎた場合の更正の申出については、法定申告期限から7年以内

<所得税>

提出時期は法定申告期限から3年以内

例)平成21年分 ・・・ 平成25年3月15日まで

  平成22年分 ・・・ 平成26年3月15日まで

特に所得税は3年以内であり、法人税の5年以内と異なるため注意が必要です。

 

消費税の経過措置(3)─工事請負の詳細

消費税法施行令の一部改正政令」がさる3月13日に公布されました。

そこで、工事の請負等に関する経過措置及び資産の貸付に関する経過措置の双方について今回の政令詳細が定められました。今回は工事の請負等について記述します。(税務通信No.3254抜粋)

<工事の請負等>

平成8年10月1日から平成25年10月1日(指定日)の前日までに締結した工事

(製造を含む)の請負に係る契約(これに類する政令で定める契約を含む)に基づき、施行日以後に資産の譲渡等を行う場合、その資産の譲渡等は旧税率を適用する。

(政令で定められた詳細)

測量、地質調査、工事の施工に関する調査、企画、立案、及び監理並びに設計、映画の製作、ソフトウェアで次の要件を満たすもの

・仕事の完成に長期間を要するもの

・仕事の目的物の引渡しが一括して行われるもの

・仕事の内容につき相手方の注文が付されているもの(建物の譲渡に係る契約で、

 当該建物の内装若しくは外装又は設備の設置若しくは構造についての当該建物の

 譲渡を受ける者の注文に応じて建築される建物に係るものを含む)