隠されてきた銀行の真実 戸谷圭子

隠されてきた銀行の真実

隠されてきた銀行の真実


本年の一冊目(しばらく正月気分だったので)。
銀行出身で金融サービス業のマーケティングに特化したコンサル会社を経営する著者が「顧客目線」に立った今後のあるべき金融サービスの姿を論じています。
金融庁>銀行>顧客  という構図が頻繁に出てきますし、その根深さが理解できます。
銀行の営業時間、なんでも印鑑、対面自署、ATM手数料・・など銀行のサービスでもっとどうにかならないかなと感じる点について銀行の「タテマエ」と「ホンネ」に分けて解説されていて読みやすいです。

なかでも氏が語る「サービス業に従事する人間は、基本的には顧客に喜んでもらえることで幸せを感じる。逆に言えば、そうでない人間を採用してはいけない。」というくだりは納得です。
それが「一般的に、顧客ロイヤルティ(ここでは企業にとって望ましい顧客行動をいう)と従業員ロイヤルティ(一般的なジョブロイヤルティ)の方向性は合っているはずである。」につながります。
詳しい内容は本書を読んでみてください。

ちなみに顧客目線は大変重要でサービスの多様化(ターゲット層、地域差など)に応じたさまざまな工夫をされて顧客を伸ばした第二地銀や信金のお話がいくつかありましたが、メガバンクや大手地銀ではどうでしょう。すべてにおいて改革が可能かというとちょっと懐疑的です。
やはり地域や顧客に密着したフットワークの軽い銀行向けなのではないでしょうか。メガなどは行員のコンセンサスをとるのにコストや時間がかかりすぎますし、金利や金融商品の取り扱いの競争がきつくてとても手が回らないのが現状でしょう。
是非銀行の行員さんに読んでいただいて感想を聞いてみたいですね。