節税ばかりが能じゃない。

もちろん節税は大事。でも税理士になって思うことがある。それは全てのクライアントに対して節税ばかりを提案するのが果たしてクライアントにとって良いことかということ。
節税はご存知とおり大きく分けて「お金を使わない節税」と「お金を使う節税」とがある。「お金を使わない節税」は、たとえば引当金や貸倒処理、経過勘定を使った期間計算(月額給与の帳端)などいろいろあり順番としてはこちらが先だ。
その後の手段として出てくるのが「お金を使う節税」だ。代表的なものに「決算賞与」「生命保険加入」「30万円未満の消耗品の購入」などさまざまなものがある。
今日順調に事業を伸ばされているクライアントの社長と決算予測をし一通りの説明をした上で「社長、そのまま税金を支払うのも一つですよ。」と申し上げたところ「それもそうですね。」という反応をいただいた。成長期のなかにあるこの会社は税金の桁数の感覚を3桁(万)から4桁にシフトする重要な時期にきていた。1000万単位となるとどちらの社長も「そんなに払うの?」といった話になる。・・必ず。でも経営者がそれを乗り越えないと会社の成長は止まるかもしれない。税金はある意味企業成長のためのコストである。だからうまく税金(節税)と付き合っていく術を経営者には身につけていただきたいと節に願う。
「生命保険加入」での節税は保険料の多寡によって効果が上下するし、解約返戻率のピーク(通常最短で約5年かかる)まで払い続けないといけない。決算賞与も支払えば従業員はもちろん喜ぶが節税効果は払った金額の40%であり残り60%はやはり会社からの手出しになる。(逆に100の支払賞与を実質支払60ですむという考えもあるが。)
節税はそれぞれの会社が置かれている業況や規模や業歴によって設計すべきものである。
よって利益の40%を割り切って支払ってもらう・・。それが成長過程の企業にとってはキャッシュフローを痛めない最善の策であるかもしれない。ちなみにこの場合の最大のメリットは(金融機関も含め)対外的信用がアップするということになる。