債務超過会社を吸収合併する

債務超過会社を吸収合併する」というスキームを考えてほしいとのご依頼があり検討してみたのですが、組織再編税制及び欠損金の繰越税制とリンクするため結構難解なテーマでした。

結論としては「合併は可能」ということに至ったのですが、以前(10年ほど前)に遡れば赤字法人や債務超過法人の吸収合併は不可能という通説でした。それが現在では可能です。もちろん諸条件があります・・。

また被合併法人のあるいは合併法人の欠損金の繰越の問題もありますが、法人税法上の「適格合併」である場合には欠損金の繰越が可能です。

唯一気になった点が、「合併比率」の問題です。被合併法人において債務超過である場合には株価は実質ゼロ円となります。この場合、無対価合併(被合併法人の株主に対して株式またはそのほかの資産の交付を伴わない方式)という方法があるのですが、この手法によると上記の「適格合併」とならないので注意が必要です。

「適格合併」の大前提として、被合併法人の株主に対して合併法人の株式を交付することとなっているためです。よってこの場合には欠損金の繰越ができません。

なので100対1とか1000対1など極めて交付割合の低い合併比率によって無対価合併を回避する方法が考えられます。ただしこの場合も、合併法人の株主から被合併法人の株主へ贈与があったものとみなされ贈与税が課税されますから注意が必要です。(本来ならば1対ゼロとなりますから・・)

いずれにしても債権者である(一般的には)金融機関の稟議次第ですので、そのほかの利害関係者と綿密に打ち合わせの上で実行すべきです。